僕が神様だった頃
世界は高く、澄んでいた
僕が神様だった頃
気紛れに草や、水や、羽を創っては消した
僕が神様だった頃
何処もかしこも笑みが溢れて、僕は酷く幸福だった
僕が神様だった頃
僕の歩いた道には花が溢れて、二度までは僕も振り向いて歩いた
僕が神様だった頃
僕の他に、神様と呼べる人は一人として居なかった
僕が神様だった頃
誰も彼もが美しく着飾った嘘で、もう一つ嘘を付いた
僕が神様だった頃
空が翳る日は無くて、いつも遠い青に触れる夢を見ていた
僕が神様だった頃
誰も僕を咎めも、哀れみもしなかった 僕は僕の優しさだけを信じていられた
僕が神様だった頃
僕は酷く幸福で、幸福である事が少しだけ、寂しくて
僕が神様を止めた日、
世界は色を失くしたけれど、初めて触れた僕では無い温もりを
忘れたくはない、と泣き腫らした目で見上げた先に
君のいる風景
2008/3/14
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